バンコク発オダサイ便
サワディーカップ タイ支部のオダサイです。 タイのプロレス団体・SET UP THAILAND PROWRESTLING は、2月にコロナ過からの復活ファン限定イベントとして、道場マッチを行い、オダサイ便でも紹介しました。 そして、この4月23日に、ようやくリングのある会場で、観客を集めての興行を行いました。 会場となったバンコクのラチャダー地域のスタジオは、200人ほどが収容できます。事前に販売したチケットは売り切れで、会場は満員となっていました。 今回は5試合が行われ、その第1試合に出場したのが、"タイの力道山"テリー・ディーゼル選手でした。 テリー選手は、パソコンのキーボード攻撃~パイプ椅子攻めなど激しい攻撃でバイタル・ハスディン選手を下しました。 竹刀で反撃するバイタル選手をトップロープから投げて、リング上に置いた会議用の長椅子を破壊するなど、目の前で繰り広げられる攻防は大迫力です。この試合は特にプロレスラーの頑丈さやエンターテイメント性を感じ、楽しませてもらいました。 "タイの力道山"というのは、テリー選手がかつて日本で試合した際に、高山善廣さんが名付けた呼び名ですが、タイのファンには"Bangkok Rock Star"というニックネームが浸透しているようです。 ‐‐‐‐ この日のメインイベントでは特別なタイトルマッチ、チャンピオン同士の統一戦がありました。 SET UP の無差別級ベルトを持つシバム選手と、香港のプロレス王座であるAWGCジュニアヘビー級のベルトを持っているジョナサン選手が争い、シバム選手が2つのベルトを手にしました。 この統一戦の後にテリー選手はリングに上がると、シバム選手を挑発し、挑戦の意思を示しました。 そして団体側はテリー選手の意を組んで、6月18日に統一チャンピオンのシバム選手とのタイトルマッチを決めました。 ‐‐‐‐ テリー選手はSETUPの前身の団体・ガトームーブ・タイ(我闘夢舞タイ)時代とSETUPと、これまでに二度チャンピオンになった実績があります。 ガトームーブ・タイ時代は、現在のキャラクター、テリー・ディーゼルではなく、E.K.バギーとして活動していました。E.K.バギーはベビーフェイス的な存在で、マレーシアやシンガポール、そして日本でも試合をしてきました。 2013年のことですが、日本の我闘夢舞の興行などに出場していたところ、新木場1stRINGでのDJニラ選手との対戦時(テリー選手が勝利)に、高山善廣さんがテリー選手の激励に姿を現わしました。 高山さんは、ムエタイのトレーナーに付いてタイに行き、タイ料理が好きになり、タイ人レスラーを応援したくなったそうで、リング上で「E.K.バギーはタイの力道山になれ!!」とテリー選手にメッセージを送ったそうです。 当時、タイのプロレスの黎明期の中で活動している彼を、高山さんは日本のプロレスのパイオニアだった力動山に準えていたのでしょう。 更に2015年には高山さんと組んで6人タッグマッチで後楽園ホールのリングにも上がる機会にも恵まれました。 その後、テリー選手はアメリカではWWEのトライアウトにも参加しました。様々な経験を得た彼は、2019年のSETUP発足と共にE.K.バギーから"Bangkok Rock Star " テリー・ディーゼルとして生まれ変わりました。 テリー・ディーゼルとリングネームを変更してからは、ヒール色も強くなり、この4月23日の興行で魅せたようなラフファイトもこなします。得意技はFalling Sanctuary (ダブルチョークバックブリーカー)です。 6月18日のタイトルマッチは、180センチ、90キロの新世代のシバム選手が華麗な技術を見せて防衛するか、175センチ、100キロでタイプロレスでは古株、重鎮とも言えるテリー選手がベテランの意地を見せて、チャンピオンに返り咲くか、タイ中のプロレスファンが注目する試合となります。 テリー選手は「レスラー生活の10年を、チャンピオンに返り咲いて祝いたい」というコメントを残しています。 また挑戦を受けるシバム選手は「タイのプロレスのパイオニアかどうか知らないが、テリーディーゼルは時代遅れ。勝って世代交代を印象付けたい」としています。 ‐‐‐‐ テリー選手は、デスメタルバンド、PAST OF THE PAINを率いており、このバンドはタイのメタルシーンでも名を知られています。13年の活動を誇り、インディーズでアルバムむリリースしています。 テリー選手はギターボーカルを担当しており、また多くの楽曲で歌詞を書いています。ヘビィメタルやデスメタルはプロレスは非常に相性が良い印象です。 テリー選手お勧めのPAST OF THE PAINの代表曲”War”のYOUTUBEリンクを貼るので、興味のある方は是非チェックしてみて下さい。 ”War”は、2015年にリリースしたファーストアルバム、"Romance of conflict kingdom"に収録されている曲だそうです。 ‐‐‐‐ また4月23日の興行ですが、タイのバイクタクシーのキャラのP'スチャート選手とベテランののパクサ選手も盛り上がりました。P’スチャート選手はバイクに乗っての登場でした。 タイ初の女子プロレスラーであった、ブルーロータス選手の引退試合では、練習生を協力させて卑劣な攻撃を続けるSETUPのCEOから勝利を収めた後で、リング上でプロレスへの愛を語りました。 最後にリングシューズを脱いで、リングに別れを告げました。テリー選手と共に、ガトームーブ・タイ時代から活動してきた、ブルーロータス選手のセレモニーは、観客の涙を誘いました。 ‐‐‐‐ オダサイがテリー選手へ、日本のプロレスファンにコメントを求めると、こう答えてくれました。 「日本の皆さん、オレはコツコツとプロレスのキャリアを積んでいて、また日本のリングでも成長した姿を魅せたい。日本のプロレスファンに会いたいです。SET UP THAILAND PRO WRESTLING のゴールは、タイのプロレスを世界のレベルに引き上げていくことです。 SET UPには、ホントに良い才能を持ったレスラーがいるし、デビュー前の練習生にも良い人材がいる。日本の皆さん、インスタ(Setup_th)、Youtube、Facebook(共にSet up thailand pro wrestling) をフォローして下さい。そして、オレのインスタ(Terrydiesel_wrestler)もお願いします。じゃあ、日本で会おう!!」 また、高山選手からのタイの力道山になれ!というコメントについては、「タイのプロレス界で力道山のようなになっているのか、タイでNo.1のレスラーになっているかというと、まだそうではない。でも、タイのプロレスのパイオニアとして、力道山と同じ道中にいると感じる。高山さんからのメッセージの意味を噛み締め、彼のように強くなっていきたい」とのことでした。 SETUPのYOUTUBEチャンネル https://www.youtube.com/c/SETUPTHAILANDPROWRESTLING SETUPのFACEBOOKページ https://www.facebook.com/setupth/ PAST OF THE PAIN の代表曲"war" https://youtu.be/_YeWuMhrgrw *** 小田充則(オダミツノリ) 1976年生まれ、44歳。会社員。タイ・バンコク在住。 30年来のボクシングファン。タイでもボクシング興行をよく観に行っている。 日本人ボクサーのタイでの世界戦は必ず応援に駆け付ける。 40歳前にはじめたムエタイ、キックボクシングでアマチュアの試合に出場し、1勝(0KO )1敗(1KO)。ボクシングへの転向を狙っているがコロナ過でジム通いができず、先延ばしに。好きなボクサー・辰吉丈一郎、福原辰弥、ジャッカル丸山。